2026年3月、立て続けに「AIが自分で動く」サービスが出てきた。
Perplexityは24時間動き続けるMac miniベースのAIを出した。
AnthropicはClaudeをMacに常駐させるDispatchを発表した。
オープンソースのOpenClawはGitHub史上最多のスター数を更新している。
「AIに聞く」時代から「AIが勝手にやる」時代に変わり始めている。
これまでのAI活用とどう違うのか、そして、各社の自立実行AIは何が違うのかを整理してみた。
そもそも「自律実行AI」とは何か
これまでのAIは、プロンプトを入力して回答を受け取るという「対話型」だった。
ChatGPTもClaudeもGeminiも、基本的にはこの形式。
自律実行AIは違う。
タスクを渡したら、AIが自分で考えて、自分で操作して、結果を返してくる。
例えば、ブラウザを開いて情報を集める。ファイルを作成する。メールを送る。のように、
一人の人間が作業をしているかのようにAIが動き続ける、これが自立実行AIである。
ではそれぞれのAIモデル企業の自立実行AIがどう違うのかを見ていこう。
Perplexity Personal Computer
Perplexityが3月11日に発表した。
物理的なM4 Mac miniにAIを常駐させて、24時間365日動き続ける。
最大の特徴は「AIが住むコンピュータ」というコンセプト。
自分のファイル、自分のアプリ、自分の環境にAIが入り込んで、寝ている間も勝手に仕事を進めてくれる。
内部では19〜20種類のAIモデル(Claude、Gemini、Grokなど)を使い分けていて、タスクの内容に応じて最適なモデルを自動選択する。
1つのモデルに依存しないから、得意分野ごとに使い分けられる。
エンタープライズ版ではSnowflake、Salesforce、HubSpotなど数百のツールと接続可能。ある企業では4週間で3.25年分の業務を処理したという報告もある。
セキュリティ面では、機密操作にはユーザー承認が必要で、全セッションの監査ログが残る。緊急停止スイッチもある。
料金はPerplexity Max(月額200ドル、約3万円)。現在はウェイトリストで順次案内中。
他のサービスと比べると
強みは「AIモデルの幅」。19〜20種類のモデルを自動選択できるのはPerplexityだけ。Claude DispatchはClaude単体、OpenClawは手動選択。タスクの内容に応じて最適なモデルが自動で切り替わるので、業務の幅が広い人ほど恩恵が大きい。
エンタープライズ向けの連携(Salesforce、Snowflake等)も他2つにはない。法人での本格導入なら、現状これが最も現実的。
弱みは「コスト」と「柔軟性」。月200ドルはClaude Dispatch(月20ドル〜)やOpenClaw(月30ドル程度〜)と比べると圧倒的に高い。専用Mac miniが送られてくる形なので、自分の環境をそのまま使いたい人には向かない。まだウェイトリスト制で、すぐには使えない。
(参考:Introducing Perplexity Computer)
Claude Dispatch(Anthropic)
Anthropicが3月16日に発表した。
Claudeのデスクトップアプリ「Cowork」に追加された新機能。
自分のMacがそのままAIワーカーになる。
しかもスマホから指示を送れる。外出先から「この資料まとめておいて」と送ると、自宅のMacでClaudeが作業してくれる。
Perplexityとの最大の違いは「ローカル実行」にこだわっている点。
ファイルは自分のマシンから出ない。すべてのアクションに対してユーザー承認が必要な「human-in-the-loop」設計になっている。
「安全性を最優先にしながら自律性を広げる」というAnthropicらしいアプローチだと思う。
料金はClaude Proプラン(月額20ドル)からアクセス可能。Maxプラン(月額100ドル)で全機能が使える。
他のサービスと比べると
強みは「セキュリティ」と「コスパ」。データが自分のマシンから出ないローカル実行は、3つの中で最も安全。Perplexityはクラウド経由、OpenClawはセルフホストでもネットワーク設定次第でデータが外に出る。機密性の高い業務なら、Dispatchが第一選択になる。
月20ドルから始められるのも大きい。Perplexityの10分の1のコストで自律実行AIが使える。
弱みは「モデルの縛り」と「稼働条件」。使えるのはClaude単体。PerplexityのようにGeminiやGrokを自動で使い分けることはできない。自分のMacが起動中しか動かないので、24時間常時稼働には向かない。Mac限定なのでWindowsユーザーは使えない点も注意。
(参考:Claude Dispatch: Your Mac Becomes an Autonomous AI Agent)
OpenClaw
オーストリアの個人開発者が2025年11月に公開したオープンソースの自律実行AI。
GitHubのスター数が72時間で6万を突破し、現在は25万超でReactを抜いた。
NVIDIAのJensen Huangが「Linux、Kubernetes、HTMLと並ぶ重要なソフトウェア」と評したことでも話題になった。
最大の特徴は、WhatsApp、Telegram、Discord、Slackなどのメッセージアプリから操作できること。
普段使っているチャットで指示を送ると、AIがシェルコマンドの実行、ブラウザ操作、ファイル管理をこなしてくれる。
使うAIモデルも自分で選べる。Claude、GPT、DeepSeekなど、好みのモデルを組み合わせて使える。
「heartbeat」という機能で、定期的にスケジュールタスクを自動実行することも可能。
オープンソースなので自分のサーバーで動かせる。ただし、OpenClaw自体は無料でも、裏で動くAIモデル(Claude、GPT、DeepSeekなど)のAPI利用料は別途かかる。自前ホストの場合、サーバー代が月6〜13ドル、API費用が使用量に応じて月20〜100ドル程度。安いモデル(DeepSeek等)を選べばコストは抑えられるが、ゼロにはならない。クラウド版は月59ドル。
2月には開発者がOpenAIに入社し、プロジェクトはオープンソース財団に移管された。中国政府が政府機関でのOpenClaw使用を制限するなど、国際的な注目度も高い。
他のサービスと比べると
強みは「コスト」と「自由度」。自前ホストならサーバー代+API費用で月30ドル程度から使える。Perplexityの約7分の1。使うAIモデルも自分で選べるし、コードも公開されているから好きなようにカスタマイズできる。
WhatsAppやTelegramから操作できる手軽さも独自の強み。PerplexityやClaudeは専用アプリやブラウザが必要だが、OpenClawは普段のチャットアプリからそのまま指示を送れる。
弱みは「技術ハードル」と「サポート体制」。セットアップにはサーバー構築やモデル接続の知識が必要。PerplexityやClaudeのように「登録して終わり」とはいかない。セキュリティも自己管理で、監査ログや承認フローは自分で整備する必要がある。企業利用にはハードルが高い。
(参考:OpenClaw Explained – KDnuggets)
比較表で整理する
| Perplexity Personal Computer | Claude Dispatch | OpenClaw | |
|---|---|---|---|
| 提供元 | Perplexity | Anthropic | オープンソース(元個人開発) |
| 動作環境 | 専用Mac mini(M4) | 自分のMac | 自前サーバー or クラウド |
| 操作方法 | Webブラウザ / アプリ | スマホ / デスクトップ | WhatsApp / Telegram / Discord等 |
| 24時間稼働 | ○(常時稼働が前提) | △(Macが起動中のみ) | ○(サーバー常時稼働) |
| 使用AIモデル | 19〜20種類を自動選択 | Claude単体 | Claude / GPT / DeepSeek等(選択可) |
| 月額料金 | 約3万円($200) | 約1.5万円($100 Maxプラン) | 約4,000〜1.5万円(サーバー代+API費用込み) |
| セキュリティ | 監査ログ+承認+キルスイッチ | ローカル実行+全アクション承認 | 自前管理(セルフホスト) |
| エンタープライズ | ○(Salesforce, Snowflake等連携) | ○(Team / Enterpriseプラン) | △(自前構築が必要) |
どれを選ぶべきか
「とにかくAIに任せたい。コストは気にしない」ならPerplexity Personal Computer。
複数のAIモデルを自動で使い分けてくれるので、タスクの幅が広い。
24時間常時稼働で、エンタープライズ向けの連携も充実している。
AIに本格的に業務を委ねたい法人向け。
「安全に使いたい。データは外に出したくない」ならClaude Dispatch。
ローカル実行にこだわっているから、データが自分のマシンから出ない。
すべてのアクションに承認が必要な設計。
セキュリティを重視する人や、機密性の高い業務に向いている。
「コストを抑えたい。自分でカスタマイズしたい」ならOpenClaw。
オープンソースだから、自前ホストならサーバー代+API費用で月30ドル程度から始められる。DeepSeekなど安価なモデルを選べばさらにコストは抑えられる。
WhatsAppやTelegramから操作できるのも手軽。
ただしセットアップには技術力が必要。開発者やスタートアップ向け。
「AIが住む場所」が次の競争軸になる
面白いのは、3つのサービスが全く違う場所に賭けていること。
Perplexityは専用ハードウェア。Claudeは自分のMac。OpenClawはメッセージアプリ。
「AIをどこに住まわせるか」が、次の競争のフロンティアになっている。
どれが正解かはまだわからない。
でも確実に言えるのは、「AIに聞く」時代はもう終わりに近づいているということ。
これからは「AIが勝手にやる」が当たり前になる。
その準備を始めるなら、今がちょうどいいタイミングだと思う。
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