AI実務

AIで業務効率化|部門別の使いどころ

「AIで業務効率化、と言われても、うちの会社のどこに使えばいいのか」

導入の入り口でつまずく原因の多くは、AIを「全社で一律に」考えてしまうことにある。会社全体を一気に効率化しようとすると、対象が大きすぎて動けない。業務効率化は、部門別に「ここに効く」を1つずつ当てていくのが近道だ。

本記事では、AIが効きやすい8つの領域を部門別に地図にする。自部門に近いところから、各論の記事へ進んでほしい。AI導入そのものの進め方は中小企業のAI導入の進め方で整理している。

なぜ部門別に当てると進むのか

業務は部門ごとに性質が違う。営業は対人と提案、経理は定型処理、問い合わせは一次対応。性質が違えば、AIの効かせ方も変わる。一律の号令では、この違いに合わせられない。

逆に「この部門の、この業務に、こう使う」まで具体化すると、現場はすぐ動ける。抽象的な全社方針より、部門別の具体的な使いどころのほうが、実務は前に進む。同じAIでも、当てる場所を具体的に決めるかどうかで、効果はまるで変わってくる。

KMCの自社運用でも、部門ごとに効く業務を1つずつ見つけて広げていった。最初から全部門同時ではなく、効くところから順に当てたほうが速かった。

部門別の使いどころマップ

AIが効きやすい8領域を、部門のイメージとあわせて整理する。それぞれ詳しい実装は各記事にある。

領域 主に効く業務 詳しく
営業 提案・商談準備・フォロー 営業の効率化の記事へ
議事録 会議の記録・要約・共有 議事録自動化の記事へ
経理・総務 定型事務・書類・データ転記 バックオフィス効率化の記事へ
問い合わせ対応 FAQ・一次対応の自動化 問い合わせ自動化の記事へ
資料作成 提案書・社内資料のドラフト 資料作成時短の記事へ
マーケティング 記事・SNS・広告コピー AIマーケ入門の記事へ
採用 求人・書類・日程調整 採用効率化の記事へ
データ分析 売上データの把握・可視化 データ分析入門の記事へ

このうち、最初に手をつけやすいのは議事録・資料作成・経理の定型事務あたりだ。判断より作業の比重が大きく、効果が見えやすい。営業やマーケは効果が大きい一方、使い方に幅があるので、慣れてから踏み込むとよい。

この表は地図にすぎない。実際に進めるときは、表のすべてを一度に当てようとせず、自部門に近い1マスから入る。1マスで効果が出れば、隣のマスへ自然に広がっていく。全体像を頭に入れた上で、着手は1点に絞る。これが、地図を持ちながら迷わない進め方だ。

部門をまたぐ共通の進め方

どの部門でも、効率化の進め方の土台は同じだ。部門が違っても、この順番は変わらない。

  1. その部門で一番時間を食っている定型業務を1つ選ぶ
  2. 少人数でAIを当ててみて、うまくいったやり方をメモに残す
  3. やり方を手順にして、同じ業務をやる人に広げる
  4. 効果を1つ測って、次の業務へ進む

部門ごとに使う業務は違っても、「1業務から始めて型にして広げる」という骨格は共通している。部門の数だけ別々のやり方を覚える必要はない。定着のさせ方は社内にAIを定着させる組織の作り方を参照してほしい。

使いどころを間違えないために

部門別に当てるとき、避けたいのは「判断そのものをAIに任せる」ことだ。営業の最終提案、採用の合否、経理の最終承認といった責任を伴う判断は、人が握る。

AIに任せるのは作業、判断は人。この線引きを部門ごとに引いておくと、効率化と品質を両立できる。各記事でも、この線引きを業務ごとに具体化している。

効果が出る部門・出にくい部門

同じAIでも、部門によって効果の出やすさは違う。早く効果を見せたいなら、出やすい部門から始めるのが定石だ。

  • 効果が出やすい: 定型の文書作成、議事録、データ整形。作業の比重が大きく、成果が見えやすい
  • 効果に幅がある: 営業、マーケ。使い方次第で大きく効くが、戦略が外れると量だけ増える
  • 慎重に進める: 採用、経理の確定処理。判断や責任が絡むので、線引きを丁寧に

最初の成功事例は、効果が出やすい部門で作るのがよい。「あの部署で確かに楽になった」という事実が、慎重な部門を動かす燃料になる。導入の順番は中小企業のAI導入の進め方と同じ考え方だ。

部門をまたいで横展開する

1つの部門でうまくいったやり方は、別の部門にも応用できることが多い。たとえば議事録の要約のコツは、商談記録にも、社内報告にも使える。文書作成のやり方は、部門をまたいで共通だ。

部門ごとにゼロから始めず、ある部門の成功を別の部門に持っていく。これで全社への広がりが速くなる。横展開を意識すると、1つの工夫が会社全体の資産になる。

よくある質問

Q. うちは部門が分かれていない小さな会社です。それでも使えますか?

A. 使える。部門で分かれていなくても、業務は文書作成・記録・問い合わせ・調整といったタイプに分けられる。部門名でなく業務タイプで「一番重いもの」を選び、そこから当てればよい。考え方は同じだ。

Q. 全部門に詳しい人がいません。誰が進めればいいですか?

A. 各部門に1人ずつ詳しい人を置けるのが理想だが、いなければ全社で1人の旗振り役から始める。その人が部門を回って成功事例を作り、横展開していく。体制の作り方は組織の定着の記事で扱っている。

Q. どの部門から始めるのが正解ですか?

A. 一律の正解はないが、効果が見えやすい議事録・資料作成・定型事務から始めると、成功体験を作りやすい。その実績を社内に見せてから、営業やマーケなど効果の大きい領域へ広げると、組織が動きやすくなる。

Q. 複数部門で同時に始めてもいいですか?

A. 体制に余裕があれば可能だが、最初は1〜2部門に絞るほうが安全だ。一斉に広げてどこかでつまずくと、組織全体の空気が悪くなる。1つ成功事例を作ってから横展開するのが堅い。

Q. 部門ごとに別々のツールが必要ですか?

A. 多くの業務は汎用のチャットAIや既存のサブスクの標準機能で始められる。最初から部門別に専用ツールを揃える必要はない。効果が出て、その部門固有の要件が出てから専用ツールを検討すれば十分だ。

AIで業務効率化、部門別の使いどころのまとめ

AIで業務効率化を進めるなら、全社一律ではなく部門別に使いどころを当てる。8領域のマップから、自部門に近いところを1つ選び、1業務から型にして広げる。骨格はどの部門でも共通で、判断は人・作業はAIの線引きを引いておく。ここから各部門の実装へ進んでほしい。

会社全体を一気に変えようとせず、効く部門の1業務から動かす。そして1つ効いたら、その成功を隣の部門へ持っていく。これを繰り返せば、全社の業務効率化は着実に進む。


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(参考:AI LIFEとは